ホワイトペーパーは、BtoB商材や高価格帯サービスなど導入ハードルの高い製品を検討する顧客に向けて、深い理解や信頼をしてもらうために行う、つまりナーチャリング施策の一つです。ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうことで、ユーザーの名前やメールアドレスといった見込み客の基本情報を取得し、そこからインサイドセールスや営業チームへ引き継ぐという流れがBtoBマーケティング施策で重要になります。社内での連携のスピード感を担保しながら、ネット上にはない見込み客がわざわざダウンロードしたくなる情報を盛り込み、企業の信頼度を高めるにはどのように制作を進めるのがよいのでしょうか?本記事では、ホワイトペーパーをインハウス化する際のメリット・デメリット、インハウス化した際の制作ステップ、外部リソースを活用するポイントなどを紹介します。インハウス化・外注のメリット・デメリットホワイトペーパーをインハウス化する大きなメリットは、インサイドセールスとの連携を円滑に行える点です。特に見込み客の質問や導入のハードルを直接聞き取れる分、資料の内容を都度アップデートしながら、より実践的な情報を提供しやすくなります。しかし同時に、ウェブ上の一般的な情報だけでは得られない専門性の高い情報を盛り込むことによって、見込み客との信頼関係を築きやすくなるという面もあります。その際は社内のメンバーに執筆を依頼するという選択肢もありますが、専任ではない場合リソースを割きづらい場合も多いです。また、ライティングやデザインの分野は専門性が高く、質や成果を大きく左右する可能性があります。校正やレビュー体制も整備しないと誤字脱字や構成不備を見落とす可能性が高いでしょう。そこで、特定の知識やデザイン力が必要な工程を外部に依頼することで、完成度の高い資料を短期間で作る選択肢もあります。たとえば、高い専門性が必要なライティングだけ外部ライターに依頼して、最終的な校正や自社固有の専門知識の盛り込みは社内で行う方法なら、文章の基礎部分を短期間で整えつつ、自社ならではの内容をしっかり反映できます。一方、テキストは社内スタッフが書き、デザイン・レイアウトだけプロに任せるというパターンも、有料素材の活用や洗練されたビジュアル表現を期待でき、社内にデザインスキルが十分ない場合には非常に効果的です。ホワイトペーパーの種類ホワイトペーパーの形態としては大きく「事例型」「課題解決型」「ノウハウ」「調査レポート」の4つに分けられます。実際には課題解決型が最も多く見受けられます。顧客が抱えやすい課題を題材に、そのソリューションを分かりやすくまとめた資料は、導入前の検討段階で役立つ知見を提供すると同時に、企業の専門性や導入メリットをしっかりアピールできるという利点があります。「ガイド」や「マニュアル」など、実務で使える情報は、手元で読みながら実際に作業をしてみたいとなる可能性が高いため、ホワイトペーパーとして見込み客の手元で何回も読めるようにしておくのがよいでしょう。ホワイトペーパーは、広告と連動させる施策もよく用いられています。広告ではターゲットを絞って配信するため、絞りたい条件に合わせて制作します。例えば、業界ごとで制作することで、同じ業界の活用例や課題に合わせた情報は顧客は自分ごとにしやすく、興味関心を持ってもらいやすくなる可能性があります。調査レポート型のホワイトペーパーは、企業が自ら行ったアンケートやインタビュー、公的機関の統計データなどをまとめて分析し、結果をわかりやすく整理した資料です。自社が蓄えた独自調査のデータを盛り込むため、他にはない新鮮な情報や信頼性の高い根拠が加わり、読者にとって非常に有益な内容になりやすいのが特長です。制作にはアンケート設計やデータ集計、考察を行う手間がかかる反面、公開するとダウンロード数が多くなる傾向があり、企業や製品の専門性や権威を高める効果も期待できます。インハウス化を始めるときの流れ全体的な流れとしては下記のようになります。体制と役割分担を決める役割詳細編集・企画担当(ディレクター)全体構成を決め、どんな内容を盛り込むか企画をするライターor技術担当テーマによっては技術者やサポートスタッフの協力を得ながら文章化専門性の高いコンテンツにするなら外注するなども検討デザイナー or デザイン担当レイアウト、ビジュアル要素、図表の作成校正・入稿担当※ディレクターが兼ねることが多い誤字脱字や数字の正確性、PDF化時の崩れチェック社内担当者が集めた素材を整理し、文章を組み立てる1~2回校正を重ねて全体の流れを確認目的・指標の明確化商談率や成約率などセールスとの接点を測るKPI、次にダウンロード数やコンバージョン率(CVR)を改善指標とするのがよいでしょう。たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードしてくれた見込み客のうち、どの程度が問い合わせや商談へ進んだかを追いかければ、そこから営業チームとの連携体制やホワイトペーパーそのものの内容が実際に“受注に結びつく後押し”をしているかどうかを判断できます。もしダウンロード数が多くても、商談化率が極端に低いなら、ホワイトペーパーが課題を十分に捉えていない・解決策をしっかりと訴求できていない、あるいは担当者のフォロー体制に問題がある可能性を検討しましょう。ダウンロード数やCVR(ページ訪問から送信完了までの率)では、そのテーマが顧客に求められるかどうか、CVRからはユーザーがどこで離脱しているか、フォームの項目が多すぎるのかなど、最適化の改善の必要性を判断できます。もし広告を活用している場合は、CPA(1件あたりのダウンロード獲得コスト)を合わせて測定し、費用対効果の観点からキャンペーンの見直しやキーワード選定の精度向上を検討するとよいでしょう。ターゲット・課題・ニーズの洗い出しまず具体的なペルソナを設定します。たとえば「中小企業のIT担当者」という形で、会社規模や担当者の業務範囲、導入予算などを細かく想定しておくと、記事やホワイトペーパーなどのコンテンツ内容に一貫性を持たせやすくなります。ペルソナがどんな業務を担当し、どのようなタイミングで課題を感じるかを想像してみると、具体的な文章づくりもスムーズに進むでしょう。さらに、実際に興味を持ちそうなキーワードやフレーズも自然に見えてきます。その際、製品やサービスが具体的にどの部分を解消できるかを結びつけることで、読者が課題を解決するために有用だと判断し、ダウンロード数の増加につながりやすくなります。アウトライン〜ライティングホワイトペーパーの制作では、大きく「構成決め」「ライティング」「デザイン」「図作成」という4つの作業に分けて考えるとスムーズです。まず構成決めの段階では、読者の知りたい情報や解決したい課題を踏まえ、目次や章立てをプランニングします。どんな導入文で興味を引き、どの章で製品やサービスの特徴を解説し、最後にどのような資料や問い合わせ先を載せるか、といった流れを確定しておくと、のちのライティング作業がスムーズに進むでしょう。次にライティングでは、想定読者のレベル感や業界知識に合った表現を選び、専門用語の補足も必要に応じて盛り込みます。文章が長くなりすぎると読まれにくいので、簡潔さと情報の濃さを両立するバランスが課題です。デザインの作業では、文章だけでなく、全体的なレイアウトや配色、フォントなどを整えて、見やすさ・ブランド感を両立させることがポイントです。企業のカラーガイドラインやロゴ使用規定を踏まえつつ、ホワイトペーパーの内容にあわせて適切なビジュアル要素をレイアウトします。最後に図作成では、グラフや表、イラストで情報を補強し、文章では伝わりづらいデータや構造を視覚化して、読者が短時間で理解できるように工夫します。たとえば、導入プロセスや成功事例の流れを図解すると、文章だけの場合よりインパクトとわかりやすさが向上します。ダウンロードフォームの作成最も簡単かつ一般的に使われる方法は、WordPressなどのCMSでフォームプラグインを導入してホワイトペーパーのダウンロードフォームを作成するやり方です。プラグインをインストールすれば、サーバーサイドのプログラム開発はほとんど不要で、フォーム送信完了後に自動でPDFのダウンロードリンクを表示したり、ユーザーにメールでリンクを送信するよう設定できるため、必要最低限のリード情報を取得しつつ手軽に運用をスタートしやすい点が最大の魅力です。MAツール(マーケティングオートメーションツール)を導入している企業では、ホワイトペーパーや資料のダウンロードフォームをMAツール側で作成し、そのフォームを通じて得られたリード情報を一括管理できるようになっています。たとえば、HubSpotやMarketo、Pardotなどでは、ユーザーがフォームから氏名やメールアドレス、会社名を入力した瞬間に、データがMAツールのリードデータベースへ自動的に格納される仕組みです。これにより、フォーム送信の段階でスコアリングやリード属性のタグ付けが行われ、ダウンロード後にはステップメールや追加のアプローチを自動的に行う設定も可能になります。インサイドセールスとの連携ホワイトペーパーをダウンロードした顧客が、どの程度の興味や購買意欲を抱いているかを可視化し、インサイドセールスに優先度を付けて引き渡すプロセスは、リードナーチャリングや商談化をスムーズに進めるうえで非常に重要です。具体的には、マーケティング側でフォーム送信後のデータを分析し、ダウンロード内容や閲覧履歴、さらにはMAツール(Marketo、HubSpotなど)が付与するスコアリング結果などを合わせて確認します。まとめホワイトペーパーは、BtoB商材や高額サービスを扱う企業が顧客の興味を高めたり信頼を獲得したりするために用いる“ナーチャリング施策”のひとつです。資料をダウンロードしてもらうことで、見込み客の名前やメールアドレスなどを取得し、その後インサイドセールスや営業部門が適切にフォローすることで、商談や成約につなげることができます。そのため、社内での連携が必須であり、インサイドセールスからのフィードバックを踏まえて社内ですぐに修正したり制作したりすることで、最終的な成約にもつなげやすくなります。そのようなインハウス化のメリットも大きい一方、デザインやライティング、専門性の高い知識は社内で完結しない場合もあるため、メリットとデメリットを踏まえた上で制作体制を整えるのがよいといえるでしょう、マイソースではホワイトペーパーの制作をはじめ、そもそもホワイトペーパーが有効的な施策かどうかの相談、インサイドセールスを含めたマーケティング施策の最適化など、マーケティングについて幅広いご相談に対応しています。下記からお気軽にお問い合わせください。https://www.mysource.jp/contact