コンテンツマーケティングとは、顧客や見込み客が抱える課題や興味に合った情報を提供し、企業や製品への信頼・理解を深め、購入や契約などの行動を促すための施策です。コンテンツマーケティングをインハウス化するメリットは、企業独自の知見を反映しやすく、継続的に改善を加えやすい点です。たとえば、製品の開発ストーリーや社内専門家の知識などは、オリジナリティが強くユーザーの信頼を得やすくなります。また、社内連携のしやすさ・迅速に細かくPDCAを回せる点も挙げられます。このメリットがより必要になるコンテンツ形式はインハウス化した方が良いといえますが、一方デメリットは、専門的なライティングスキルやデザインスキル、SEO知識や経験がないと質が低い記事が多くなり成果を得にくくなってしまいます。コンテンツといっても動画やコンテンツSEO、ホワイトペーパーなど形式は様々で、それぞれのインハウスや外注のメリット・デメリットは異なります。本記事では制作フロー・施策毎にインハウス化のメリットやデメリットを解説します。筆者:谷吉一樹2015年 (株)LIFULLに入社し、LIFULL HOME'Sのデジタル マーケティングを担当しインハウス化PJを担当。その後、最年少グループ長として、メールやLINE、広告などの 獲得チャネルを活用した新規事業の戦術策定に携わり、200%成長に貢献。2020年 (株)博報堂に転職。大手生保でのMAツール・DMPを活用した ナーチャリング戦略を立案・実行し社長賞を受賞。2022年1月にマーケター育成事業を共同創業。その経験をもとに2024年5月に独立。マイソース社を設立し、ベンチャーから大手企業まで幅広くマーケティング支援を行う。コンテンツマーケティングをインハウス化するメリット・デメリット主に「編集・企画」「ライター」「デザイナー or カメラマン」「校正・入稿担当」が必要になります。工程担当内容インハウス化推奨度企画編集・企画目的やターゲット・構成やトーン&マナーを決める高社外との調整※必要な場合編集・企画/ ライター取材対象との日程調整、必要に応じてカメラマンの手配高撮影※必要な場合カメラマン主にインタビュイーの写真を撮影する低記事の執筆ライター取材やリサーチした内容をもとに記事の執筆中編集・校正編集・企画ライターが書いた原稿が企画に沿っているか、内容の整合性や表現のわかりやすさをチェック。取材を行った際は取材先への確認も行う高バナーや図の作成デザイナー記事のOGPや必要に応じて記事内で利用する図やイラストを作成低入稿作業編集・企画 / ライターコンテンツSEOであればメタディスクリプション設定や画像のalt属性などを考慮する中公開編集・企画高記事の周知編集・企画社内やSNSなどでの発信高効果計測・改善編集・企画アクセス解析やユーザー反応をチェックし、必要に応じてリライトやデザイン変更を行う高編集・企画はインハウス化することがおすすめです。自社のブランドやサービスの深い理解があるメンバーが、記事全体の方針や構成、ターゲットとする読者層、取材対象を決める方が、コンテンツに独自性と方向性をもたせやすいためです。記事執筆は、外部ライターに依頼する場合も多いです。デザイナーやカメラマンも、撮影機材やデザインソフトの利用スキルが必要になる場合が多いため、日常的に業務が発生しないなら必要なタイミングで外注するほうが効率的です。ただ、AI技術の進歩により記事の執筆や画像の作成はインハウス化しやすくなりました。例えば、ChatGPTなどで記事の下書きを作成し、編集・企画担当が専門知識や自社の強みを加えることで、記事を仕上げることができます。効果計測は、PV(ページビュー)やセッション数で閲覧者のボリュームを把握し、滞在時間や直帰率で記事の質や興味度をチェックします。問い合わせフォーム送信数や資料ダウンロード数など具体的なアクションをKPIに設定しておくと、実際のリード獲得や商談化への寄与が見えやすくなります。SNSであれば、シェア数やコメント数も指標になります。こうした数値をGoogleアナリティクスやSearch Console、MAツールなどを使って継続的にモニタリングし、改善をしていきます。こういった効果計測のダッシュボードの作成は社内のデータを活用したり場合によってはエンジニアに依頼する場合もあるため、インハウスした方がスムーズに進めやすいです。まとめると、記事作成に関しては最初の企画、最終チェックはインハウスで担い、ライターやデザイナーは必要に応じて外注するのがよいでしょう。社内外との調整や公開後の記事の周知・効果計測・改善はスピードが求められたり社内との連携が必要になったりするため、インハウスの方がメリットが大きいといえます。インハウスに向いているコンテンツマーケティングの施策とは施策インハウス化推奨度専門スキルの必要性社内連携の必要性コンテンツSEO高中低ホワイトペーパー/Eブック中高中SNS投稿高中中動画低高低導入事例インタビュー中中高コンテンツSEO(ブログ/コラム記事)見込み顧客の課題を解決する・便利な情報を提供し、GoogleやYahoo!といった検索エンジンで上位表示を狙う施策です。ブランド認知の向上とサイト集客に貢献します。記事に自社固有のノウハウや導入事例を盛り込むほど他社との差別化ができ、効果がでやすくなるため、インハウス化した方が良いといえるでしょう。近年ではnoteなどのプラットフォームを利用すれば、サイト構築の手間や初期コストを抑えて始めることができます。下記記事ではコンテンツSEOに特化した記事の制作フローを詳細に説明しています。・コンテンツSEO・テクニカルSEOのインハウス化を最小限のコスト×最適な体制で実現するためのステップhttps://www.mysource.jp/knowledge/inhouse-seo ホワイトペーパー/Eブック導入事例や業界ノウハウなどをまとめた数ページの資料で、リード獲得を目的とした施策です。資料をダウンロードするため顧客にフォームにメールアドレスや所属業界などを入力してもらうことで、リード(見込み客)として、メールを送ったりインサイドセールスから架電をしたりします。文章量が多く、スライド全体や図などを活用する場合が多いため、高いライティング・デザインスキルが必要となります。そのため、最初からすべてをインハウス化するのは難しいでしょう。一方、製品やサービス・専門知識を入れることで他社と差別化でき、顧客のダウンロードをより促進できます。そのため、社内メンバーや専門家にインタビューをした内容をライターが執筆する、直接執筆した内容をライターがブラッシュアップするといった方法がおすすめです。SNS投稿Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSプラットフォームにテキストや画像・動画を組み合わせて投稿し、フォロワー・インプレッション数・リアクション数を増やすことで、ユーザーとのコミュニケーションやシェアを目的とした施策です。定期的に頻繁に投稿し、コメントやフォローなど細やかなユーザーとのコミュニケーションを続けることで効果が高まるため、スピーディーに対応する必要があります。また、社内の日々の様子や独自の視点を捉えて発信したほうがブランディングにつながったり、製品の新規リリース情報などを配信したりすることも多いです。社内との連携の必要性が高いため、外注よりもインハウスで運用するメリットは大きいでしょう。動画内容としては、製品やサービスの操作イメージやデモンストレーション、専門家による解説などが挙げられます。たとえば、IT企業がソフトウェアの操作方法を動画で解説すれば、文字や静止画だけでは伝わりにくい製品の特徴を理解してもらいやすくなり、導入ハードルを下げることができます。撮影機材や編集スキルが必要となるため、インハウス化のハードルは高いです。一方、社内メンバーがナレッジを解説するウェビナーなら社内スタッフだけでも開催しやすく、録画をアーカイブ動画として使い回すことも可能なので、社内で完結しやすいでしょう。導入事例インタビュー自社製品やサービスを活用している顧客の導入経緯や導入後得られた成果を記事化する施策です。主にBtoBでは、導入検討者が他社事例を非常に重視するため有効的な施策です。ターゲットに近い顧客を選定し、サポート担当や社内データを活かして現状把握を行うことで、より効果的なインタビューができるため、社内連携の必要性が高いです。ただし、OGPなどで使う写真はクオリティを優先するため、カメラマンは外注するのがおすすめです。執筆も高い専門性が求められますが、最近ではAIの発展によってインハウス化がしやすくなっています。まとめコンテンツマーケティングでは、社内の専門性を活かすことで、他社と差別化できる情報を提供でき、見込み顧客へアプローチしやすくなります。一方で、クオリティの高いコンテンツを作成するためには、ライティングやデザイン、撮影など専門性の高いスキルが求められる場面も多々あります。また、短期ですぐに効果が出るわけではなく、継続的な取り組みが必要になる場合がほとんどです。また、コンテンツの形式はコンテンツSEO、ホワイトペーパー、ウェビナー動画など多岐にわたるため、自社の課題感とリソースの状況を踏まえて「まずどれを優先すべきか」を明確にすることが欠かせません。社内にいる人材の得意分野や学習意欲を考慮しながら、短期成果を狙いやすい施策と、長期的にブランド力を高められる施策をバランス良く選ぶのが理想的です。現状の課題やリソースを踏まえて、長期的な視点で運用体制を構築する必要性が高いといえます。マイソースでは、コンテンツマーケティングをこれから始める企業や、マーケ部署を立ち上げた担当者からのご相談を多く承っています。具体的に「どのようなコンテンツを作成し、どこまでインハウス化すべきか」「どのように外注するのがよいか」など、基本的な戦略設計から実際のコンテンツ制作まで、柔軟にサポート可能です。ぜひ下記からお気軽にご相談ください。https://www.mysource.jp/contact